FDA (米国食品医薬品局) に準拠した、レーザー回折法による点鼻スプレーのダイナミクスと液滴径の評価
一般的に点鼻スプレーは、鼻詰まりやアレルギー性鼻炎などの局所的な治療に適しています。また、鼻腔粘膜への医薬品の全身投与も可能です。従来の吸収方法では吸収できない場合や、バイオアベイラビリティが満足できない場合には、鼻腔内への投与が特に注目されます。
医薬品の鼻腔内投与には、複数のサンプル投入容器としてポンプスプレーやスクイズ式ボトルが使用されます。意図した効果を得るためには、気道の所定の深度に噴霧された液体が沈着することが不可欠です。気道内での沈着特性は、生成された液滴の粒子径によって決まります。20~30µm以上の液滴や粒子は、鼻腔の1/3にある粘膜上の位置に沈着するため、これが理想的な滞留時間と吸収条件です。さらに小さい粒子は呼吸によって肺に運ばれ、そこに沈着します。
新薬の承認時には、液滴径分布の調査により、バイオアベイラビリティとジェネリック医薬品の生物学的同等性が検証されます。スプレーアプリケータは、最適な粒度分布(20~80µm)になるように設計する必要があります。これにより、有効成分を目的の吸収位置に確実に輸送できます。ポンプ機構を作動させるか、スクイーズ式ボトルを圧縮することで、霧化に必要なエネルギーが生成されます。鼻腔スプレーとして適用される製剤の治療効果を保証するために、エアロゾルの開発時および品質管理時には、制御された条件下での液滴径分布の測定が推奨されています。
レーザー回折式HELOSには、SPRAYERアダプターが選択でき、液滴の粒度分布を定量的に測定できます。スプレーを噴射すると、スプレーミストが測定領域内に展開され、レーザー光と相互作用します。これによって液滴は特徴的な回折パターンが形成され、この回折情報に基づいて専用の解析アルゴリズムによって演算されることで、粒度分布が求められます。噴霧時のアクチュエータの速度や力などのアトマイザー関連の条件は、測定条件として任意に設定可能で、測定結果にも記録されます。
スプレーの挙動の特徴は、噴霧中の粒度分布のダイナミクスにあります。時間分解測定では、形成段階、安定段階、散逸段階の各分散段階を定量的に解析できるため、サンプルごとに有意な解析条件を定めることで、再現性のある測定が実現できます。
アプリケーションの優位点
- 異なるタイプの点鼻スプレーを組み合わせて、噴霧するための専用アダプター
- 経時変化ダイアグラムによるスプレーショットの時間分解測定と各分散段階の識別
- スプレーショットの安定した段階を再現性よく測定可能
- 自由に広がるスプレーコーンを測定するための開放的な測定エリア
- トリガープロセス中のフォースパスダイアグラムと速度プロファイルの記録
- ROTORを使用した、傾斜状態 (0~90度) での測定
ユーザーのメリット
- 薬剤の粘膜への良好な付着を保証するスプレーの開発
- 細かくまたは粗く分散されたエアロゾルのアプリケーション指向の液滴径分析
- スプレー調製のための定量ポンプシステムおよびスクイーズボトルの最適化設計
- 治療に適した液滴径分布を持つスプレー剤を放出するための加圧特性評価
- さまざまなスプレーアプリケータに柔軟に対応できる測定システム
- 最小限の準備と洗浄で迅速な測定が可能
- 医薬品開発における様々なアプリケーション (粉体、顆粒、懸濁液、乳濁液など) に合わせて拡張可能なモジュール式測定システム